Salesforceカスタマイズの基本 – 標準機能とカスタム開発の違い

はじめに

こんにちは。mcsのS.Gです。

Salesforceを導入する企業が増える一方で、十分に活用できているかどうかは企業によって差があります。
導入後に「期待通りに使えていない」「もっと効率化できると思っていた」といった声を耳にすることも少なくありません。

その原因の多くは、Salesforceの標準機能とカスタム開発の違いや、それぞれのメリット・デメリットを十分に理解していないことにあります。

この記事では、Salesforceの「標準機能」と「カスタム開発」の違いをわかりやすく解説し、どちらが自社にとって最適なのかを判断するポイントをお伝えします。

Salesforceの「標準機能」とは？

Salesforceの標準機能とは、デフォルトでSalesforceに組み込まれている機能であり、ノーコードで設定や変更が可能な範囲を指します。

具体的には以下のようなものです。

• 顧客管理（取引先・取引先責任者）
• 商談・見積管理
• 活動履歴の記録（電話、メール、訪問など）
• レポート・ダッシュボードによるデータ分析
• 権限やアクセス制御の設定

標準機能のメリット

• 開発費用が不要で導入コストを抑えられる
• 短期間で導入・運用が開始できる
• Salesforceが提供する定期的なアップデートをすぐに利用可能
• 基本的な業務を迅速かつ安定的に構築可能

標準機能のデメリット

• 業務フローに細かく合わせることは難しい
• 外部システムとの複雑な連携には制限がある
• 特殊な業務ニーズに完全には対応できない
• Salesforce画面独自のUIや操作方法に慣れる必要がある

Salesforceの「カスタム開発」とは？

カスタム開発とは、ApexやLightning Web Components（LWC）といった開発手法を用いて、標準機能では実現できない独自の機能や連携を構築することです。

具体的な例を挙げると以下のようなものがあります。

• 業務プロセスに完全にマッチする独自の承認フローの構築
• 他システム（基幹システムや経理システムなど）とのリアルタイム連携
• 複雑なバリデーション（入力チェック）や自動計算
• 独自フォーマットのレポートや帳票出力
• カスタマーポータル（Experience Cloud）の構築
• ユーザーの作業効率を向上させる独自の画面やインターフェースの開発

カスタム開発のメリット

• 業務フローに完全にフィットした環境を構築できる
• 外部システムとの複雑な連携や自動化が可能
• ユーザーの使いやすさを最大限に追求した画面設計ができる
• 独自の業務要件に完全対応でき、競合他社との差別化を図れる

カスタム開発のデメリット

• 標準機能に比べて導入コストと期間がかかる
• Salesforceのアップデートに合わせたメンテナンスが必要
• 開発した機能の運用・保守体制が求められる
• 過度なカスタマイズは運用負荷を高めるリスクがある

「標準機能」と「カスタム開発」

以下の観点を参考に、自社にとってどちらが適切なのかご検討ください。

	標準機能	カスタム開発
導入スピード	◎早い	△遅い
費用	◎安い	△高い
業務適合性	△限定的	◎高い
システム連携	△制限あり	◎柔軟
運用・保守	◎容易	△やや負荷あり
将来的な拡張性	△限定的	◎非常に高い

導入成功の秘訣は「両者のバランス」

実際には、標準機能とカスタム開発を適切に組み合わせて利用するケースがほとんどです。
まずは標準機能を十分に活用し、不足する部分をカスタム開発で補完するというアプローチが理想的です。

カスタム開発を検討する際は、次のポイントを意識しましょう。

• 自社のビジネス要件を明確に整理し、業務フローを徹底的に洗い出す
• 現場ユーザーの声をしっかりとヒアリングし、使い勝手を考慮した設計にする
• 将来的な変更や拡張性を見据え、柔軟性の高い設計を目指す
• カスタム開発においても標準機能との連携を重視し、メンテナンス性を確保する

また、導入後のサポート体制も重要です。開発後の定期的な点検や社内の要望を踏まえた迅速な改善対応ができるパートナーを選ぶことで、運用の負担を軽減できます。

さらに、Salesforceが提供する最新情報を常にキャッチアップし、機能の活用方法を日々見直していくことも重要です。
Salesforceの標準機能とカスタム開発を十分に理解し、自社ビジネスのさらなる成長にお役立ていただけますと幸いです。